前回、逆受身凝集法の事を書いていて思い出したのですが、抗体を赤血球やラテックス粒子に結合させることを免疫用語で「感作する(sensitize)」と言います。
これも近年使うことが少なくなってきた免疫用語ですが、ネットで検索すれば出てくるレベルですので、死語になる心配はないかと思っています。



「感作」
元々の意味としては、抗原に対してアレルギー反応を起こしうる状態にすること。
アナフィキラシーショックを起こさせるために、予め抗原を注射しておくことを指す言葉だったのです。
逆受身凝集法では、抗原に対して凝集反応を起こしうる状態にする、即ち赤血球やラテックス粒子に抗体を結合させることを「感作」と呼んでいます。
名詞で「感作」、動詞で「感作する」となるので、辞書登録するときには名詞サ変です。

ところで、受身凝集法の試薬を作るときには、赤血球やラテックス粒子に抗原を結合させるのですが、これは「感作」と言うのでしょうか?

この件については、ちょっと思い出があります。
ミーティングで凝集法の話になって、当時の先輩が「抗体感作系では…、抗原感作系では…」と話していた人がいたのです。
まあ、逆受身凝集法と受身凝集法の話だな、と意味はわかったのでミーティングでは流しました。

それでミーティングが終わった後の雑談で、「抗原を結合させるのも感作って言うんですか?」と聞いてみたところ、技術者仲間ではラテックス粒子に抗原や抗体を結合させることを「感作」と言うものだと思っていたらしく、
「何か変なとこある?」
と逆に聞き返されてしまいました。

「いえ、感作って元々アレルギーの用語ですよ。免疫するのと同じです。
抗原を注射して、抗体を作らせて免疫反応させるのが感作でしょう?
だから抗原を測るために抗体を着けるのを感作と言うのが正しくて、抗原を着けるのは感作って言わないんじゃないですか?」

「うーん、どうなんだろうね。」

この時のディスカッションは結局時間切れで、その後モヤモヤしたままになっています。
今となってはどちらが正しいのか、わからなくなってしまいました。

今にして思えば、当時の私も大人げなかったのかもしれません。
でも、もし間違えていたら、他所とのディスカッションで大恥をかく可能性もあったかもしれません。
言葉の定義というのは、大事なのかもしれませんね。