次にLoD。Limit of Detectionの略。

日本語では「検出限界」「検出下限」と言われます。
要するにLoDを下回る測定値は、ブランクと有意に切り分けられない、つまり統計的にブランクと有意差がないと見なされる訳です。
このLoDが測定系の検出性能の指標と見なされているのです。
(あくまで「測れているか」は別として、です。)

さて、LoDを測ってみましょう、と思って文献を見てみると、

SD合成

いきなりこんな数式が出てきて凹むかもしれません。
こんなものでめげないように、頑張ってExcelで書いてみます。

まず、LoB付近の濃度と、それよりちょっとずつ高濃度の試料を計5~6例用意します。
もちろん実検体でそんな都合の良い試料がある訳ないので、ブランク試料に抗原を添加(Spike)して作るのがほとんどです。
これらの試料を1日2回、5日間以上にわたって測定します。
今回の例では5試料6日間、1日2回で、計60テスト測定しました。

LoDSheet

Excelなら平均(AVERAGE)と標準偏差(STDEV)は簡単に出せますよね。
ここで冒頭に出てきた、うんざりする式は、標準偏差の合成を行っているのです。
つまり、測定値(平均値)は無関係で、ばらつきだけ60テスト分で出そうとしているのです。

まず行16:SDを2乗して分散(VAR)に戻します。これが式のSD^2に相当する部分です。
次に行17:データ数(COUNT)は各試料で12です。
行18:自由度は12から1引いて11です。これが式の(nk-1)に相当する部分です。自由度の説明はいずれ自分で書きたいです。
さらに行19:自由度と分散を掛けて、偏差平方和(DEVSQ)に戻します。

ここで、標準偏差というのは、偏差平方和を自由度で割って√を取って計算したものです。Excelだと即SDが出てきてしまうので、順番が逆になって、SDから偏差平方和を計算しているという事なんですね。
今回の例で60回分の標準偏差を求めるには、標準偏差をそのまま足しちゃだめなんです。標準偏差には加法性がないから。
標準偏差を計算する大元の値である、自由度(行18)と偏差平方和(行19)を足すのです。

列Hが5つの試料分のデータを足したもの。
セルH18:自由度は合計55です。これが式の分母N-kに相当します。Nが60でkが5だから計算は合うでしょう。どちらの方法で計算しても同じことです。
セルH19:自由度×分散、つまり偏差平方和を足します。これが式の分子に相当する部分です。

最後にセルH20:偏差平方和の合計(H19)を自由度の合計(H18)で割って√(SQRT)を取ります。
これでやっと60回分の標準偏差(SDS)に合成できました。

さて、本題のLoDですが、前回計算したLoBの吸光度とか蛍光強度に、1.645×SDSを足します。
これを濃度換算した値がLoDになります。

LoD

お疲れさまでした。
測定するのも計算するのも大変でしたね。準備も含めて。