抗体とか酵素を使った実験では、濃縮や脱塩は基本操作です。
そんな実験器具が、ある日突然なくなってしまったら…
そんな経験ありませんか?

昔は濃縮といえば、アミコンの「セントリコン」でした。

centricon(1)

これを繋げて上部に抗体溶液を入れ、5000×gぐらいで遠心すると、下に貼り付いているカットオフ30kDaのメンブレンで抗体は保持され、バッファーだけが下のリザーバーに落ちて、抗体が濃縮される、というものでした。
回収もよく考えられていて、コーン状のキャップを付けて逆さにして遠心。こうすることで濃縮液がほとんど全部キャップに集まり、とても効率よく回収できました。

回収率70%以上、というスペックは謙遜気味だったと思います。
90%はいけましたね。

ペプシン消化後にゲルろ過する前の濃縮とか、消化後や酵素とコンジュゲート後の濃度調整に使っていました。
吸光度(280nm)が測れなくなるぐらいまで濃縮したものですよ。

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セントリコンの箱。
実験台の薬品棚から微妙にはみ出す。
平べったくて引き出しに入れると邪魔。
置き場に困ったのも思い出です。
10k, 30k, 50kを倉庫に平積みしていました。

これが製造中止になったときは困りましたね。
15mLスピッツに入る遠心型限外濾過器は回収率があまり良くない。
製造スケールの限外濾過器は実験室レベルでは大きすぎる。

最近、Amicon Ultra-2mLという、セントリコン後継の濃縮器が出てきまして、ようやく苦難の日々から解放されました。
でも、セントリコンに比べると回収率がイマイチ良くない印象。
もちろん直接比較はできないんですけどね。

セントリコン・ファンクラブ、あったら入会する。
昔は良かった。そんな思い出でした。