久しぶりに実験の話を。
仕事がら、色んな方の実験指導をすることも多いのですが、
「ピペットの正しい使い方を教わったことがなかった」
とおっしゃる方が意外と多いです。

IMG_0593resize

ELISAの実験で「再現性が悪いんですよー」とか悩んでいる人がいて、ちょっとやってみて、と言って観察してみると、確かに手慣れた手つきでテキパキとピペットで分注している。
でもピペットを斜めに持っていたり、タンパク質溶液なのにフォワード法を使っていたり、ツッコミ所がいっぱいの自己流。

「おいおいちょっと待って。それどこで教わったの?」
「いえ特に誰からも。学生時代からずっとこうしていました。」
「いや、正しい使い方はこう。垂直にして、粘性溶媒の場合は…」

ここでおさらい。
エッペンドルフ社によるピペッティングのコツ
メスピペットなんかと同じで、エアークッション式ピペットも垂直にして使うこと前提で設計されています。チップ内の液体に重力が均等にかかるように。

液体の特性によっても配慮が必要です。フォワード法、リバース法、リピート法を使い分けます。
知らないの?とバカにされないための正しいピペッティング操作とテクニック

私たちがフォワード法を使うのは、精製水、バッファー溶液、基質液ぐらいです。
ELISAで使う抗体溶液や、界面活性剤が入った洗浄液には、リバース法とかリピート法を使っています。

自己流にも難敵がおりまして、頑なにピペットを斜めに使う奴。
なんでそんな使い方するの?と聞いてみたら、培養の実験室出身らしくて、
  • ピペットを垂直に持つと培地に菌が落ちる。このため必ず斜めにして使う。
  • 培養で増えるので、分注精度は関係ない。
  • メスピペットなども同じで、ピペットとは斜めにして使うものである(えっへん)。
  • ドヤ顔
清々しいほど呆れましたけど、実話です。

あとよくいるのが、チップを付けるときにガンガン叩きつける奴。
きっとどこの実験室にもいるでしょう。心の中で「削岩機」って呼んでます。
「ああ、ピペットが傷む…」
力加減ってものを考えましょうよ。釘を打つのとは違うんです。

ぴったりフィットさせるのに必要十分な力で、軽く「コツン」と突けば良いし、不安なら手でキュッと締めてやれば良いのです。