3.サーベイ試料

サーベイ試料をどうやって作っているかは秘密にされていますが、ヒトから採血された未加工の検体でないことは容易に推測できます。
だって何百何千という施設に低・中・高の同じ試料を配付するのですから、試料は元々数リットル必要なはずです。そのために低・中・高の患者さんを見つけてリットル単位の採血をする訳はないでしょう。それは「アカギ」の世界です。
だから実際には一旦プール血清を作り、それに抗原を添加して意図的に高値試料を作っていると考えられるのです。抗原はリコンビナント技術で作れますから。

もうおわかりですね。精度管理用物質と同じです。
各試薬が使用している抗体の性質によって、測定値が高くなったり、低くなったりするのです。
技術的には当然起こりえることなのです。

でもサーベイの結果は、MRさんの運命の分岐点なんですよ。
例えばこんな結果になったとしましょう。

サーベイ
そうすると、仁義なき診断薬業界ではこうなるのです。

D社MRさん:「これ200枚コピーして!お客さんに配るよ。うちは真ん中だって。」
B社MRさん:「まあまあかな。積極的にアピールできる内容でもないか。静観しよう。」
F社MRさん:「うちの試薬なんかおかしい!対策話法作らなきゃ。開発何とかしてよ!」

何とかしろと言われましても、薬事上のトレーサビリティーは遵守しなきゃいけない立て前になっておりますので、開発としては何ともしがたいのです。

そんな訳で毎回「サーベイやるよ!」という話が来ると、開発者は「また面倒なことにならないといいなー」と憂鬱な気分になるのです。
それこそ疑心暗鬼で、サーベイ試料は某有力メーカーが作っており、自社試薬に有利になるような抗原を選んで作っているとかいう噂まであります。本当か?

現状はこんな状態ですので、サーベイ試料をゴールデンスタンダードみたいに考えるのはやめてくださいね。
ゴールデンスタンダードが作れないのが今の技術の限界なのです。