さて相関性試験の続き。
AとB、どちらが相関性としてふさわしいでしょうか。
もちろんBの方ですよね。
データは偏りなく、低値から高値まで満遍なく分布するのが理想です。
本来数学で扱う相関性とは、そのようなデータに対して調べられる事を想定しています。
ところが、私たちが良く実施する相関性試験は、Aに近い場合がほとんどです。
だって統計的には健常者が多いので、無作為にサンプリングすれば、データは基準値付近に偏るはずです。これは自然なことなのです。
Bのようなデータを見ると、検体に抗原をスパイク(高濃度の抗原を少量添加)して、人工的に作ったのだろうと察しがついてしまいます。
ここまできて、あれ?AとBのどっちが相関性試験としてふさわしいの?と迷われる方もいることでしょう。
臨床検査技師さんや、我々技術者がまず躓くのがこの点です。
もっと勉強しようとして、数学の本で相関性を学ぶと、臨床検査において不都合な点がいくつも見つかってしまう。
それで短絡的に「相関性試験とは如何にあるべきか」を語り出してしまう、そういう人いませんでしたか?実は数学でいう「相関性」と、臨床検査の評価試験として実施する「相関性試験」とは、似て非なる物なんですよ。
臨床検査では、数学でいう「相関性」のやり方を、測定試薬の評価方法として、ちゃっかり利用しているだけなのです。だからやり方は全く同じ、でも細かいところで不適切。
相関性試験というのは診断薬の評価試験としてはルーズなもので、
「今まで相関性を使ってやってきたけれど、これで誰も問題視していないから、このままで。」
という具合で続けられてきたものです。
そのツケが我々に回ってきているのです。
まだまだ続きます。