感度試験、という名目で検出下限を求める試験方法は、実にたくさんあります。
たぶん、色々と乱立しすぎて、「これじゃあいけない」と思って標準法を規定された、というのが実態だと思います。
まずは昔ながらの希釈法。
検出下限付近(例えば測定範囲目標の下限)より少し濃度が高い試料を希釈して、目標付近の濃度の試料を何点か作ります。
希釈液のみの試料もブランクとして用意しておきます。
これを各5回とか10回、多重測定して、値の平均値と、ばらつきを標準偏差として求めます。
Excelとかで以下のようにまとめます。
ここで、ブランクの平均±2SDを求め、試料の中で2SDのエラーバーが重ならない最小の試料濃度を検出下限と見なす、という方法です。
この例では試料1は重なるので有意差なし、試料2は重ならないので有意差あり、と見なして試料2の濃度を検出下限としています。
ホントのことを言うと、この方法には問題がいくつかあるんですよ。
例えばブランクでたまたまバラツキが小さいデータが取れちゃって、偶然検出下限が小さくなったり、
また例えば、濃度が高い方の試料がばらついて、濃度が低い試料で有意差があるのに、濃度が高い試料で有意差なし、という結果が出てしまったり。
平たく言っちゃえば、母集団から標本を抽出する方法が不適切だと言うことなんですけどね。試験としてばらつきとか再現性を扱うのは難しいのです。
他にも、2SDか2.6SDか3SDか決まってなかったり。
他にも、2SDか2.6SDか3SDか決まってなかったり。
たまに間違えて標準誤差を使っちゃう人もいます。
とはいえ、この希釈法は今でもよく使われています。
開発中の試薬なんかで検出下限の当たりを付ける試験をする場合なんかに、目標濃度に合わせた試料とブランクの試料の2つを用意して多重測定し、有意差があるかどうかだけ調べることができるのです。
せいぜい20回ぐらいの測定で済むので、簡単です。
今後も便利に使われていくことでしょう。