診断薬開発雑記

臨床検査試薬を開発するバイオ技術のブログ。誰かの役に立つかもしれない事を思い付くままに書いています。

2018年05月

「感度・特異性・再現性」

診断薬の性能特性といえば、私なら
「感度・特異性・再現性」
と答えます。そしてだいたい、
「古いよ。今は『感度・正確性・同時再現性』だよ。」
とツッコミ入れられます。もう慣れっこです。

確かに今の申請では、感度試験・正確性試験・同時再現性試験と規定されています。
それはなぜかといえば、昔の診断薬の添付文書では「性能」のところに、
特異性試験に、交差反応性のデータが載ってたり、
再現性試験に、日差再現性のデータが載ってたり、
感度と特異度」のデータが載ってたり、
各社バラバラでしたからね。
品質試験のやり方を統一しようとするのも道理でしょう。

でも、そういったことを承知した上で、曖昧さを含んだ
「感度・特異性・再現性」の、どの性能も大事だと思うのですよ。

つまり薬事上の品質管理項目としては、
「特異性」の中で「正確性」だけ、
「再現性」の中で「同時再現性」だけ
規格を満たせば出荷判定はできますが、
例え毎ロット試験しなくても、交差反応性や特異度、日差再現性といった要因も、開発する上では同じように大事だと思っています。

この話は実は根が深くって、試薬の外部仕様書を書くときに
「感度って何?定義は?」
「特異性とはトレーサビリティーの事か?」
「同時再現性はもっと低く書くべきではないか?」
なんて議論によくなります。
こんな会議は泥沼に陥ります。みんな考えていることがバラバラで、思い付く限りの知識を披露しようと必死になるから、全然意見がまとまらないんです。

このブログでは私が考えている診断薬の特性について、これから書いていきたいと思います。
もちろん賛否両論あるかと思いますが、書くことで曖昧さが少しでも整理され、解消する方向に向かえば幸いです。

実験台の上にあるもの

実験器具の話を続けてきましたが、タンパクを扱う実験台にあるものをいくつか撮ってきましたよ。
0.5mLと1.5mLチューブとか、ピペットチップ、試験管立てとかは当然あるものとします。
あと電卓やカッターなどの事務用品と、実験ノート。
可能ならノートパソコン。Excelは実験道具の一つです。

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ボルテックスミキサー。重くて存在感あるんですよ。
上部のアタッチメントを替えるとチューブ用、マイクロプレート用のミキサーになるんですけど、まあ写真のイボイボのやつが何にでも使えて重宝しています。

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チビタン。小型の遠心機。
これは学生時代にはなかったなー。
1.5mLチューブの蓋に付いた液をスピンダウンするためだけにある器具なんだけど、若い人達に聞くと、撹拌後必ずチビタンに掛けるように教育を受けている所もあるみたいです。
おかげで実験台のコンセントは、いつも満席です。

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パラフィルム。実はパラフィルムの正しい使い方って誰も教わっていないんですよ。
縦横に伸ばして、フタにピタッと当てて手を離すだけで密着できるんです。
余った部分は邪魔だから、適当に巻き付けています。
過剰にぐるぐる巻きにする必要はないんですよ。

あと、パラフィルムを切る用のハサミがよくパクられる、っていうのが実験室あるあるの一つ。

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真打ち登場。みんな大好きキムワイプ。
東急ハンズで見かけると、つい買いたくなっちゃいますよね。
でも家ではメガネ拭き以外の使い道がないので、ぐっと我慢。
空き箱で小物入れとかゴミ箱作るのが得意な人が「キムワイプ職人」の称号を持っていたりします。
バッファーこぼした時や掃除する時はキムタオル使います。

実験してなんぼですからねー。開発の仕事。
器具の話はこれぐらいにして、次から開発の話に戻そうかと思います。
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