それでは次に解説編です。
抗体をペプシンで消化する、という実験でつまづいている人も多いはず。
そもそもなぜペプシンで消化するの?
診断薬では多くの場合、Fc部位は邪魔だからです。補体活性も使いません。
ペプシン消化は、元々は抗血清からポリクローナル抗体を高純度に精製する技術なのです。
そもそもの目的が違うのです。(参考文献)
抗体がF(ab')2より小さな断片にならないのに対し、コンタミはペプシンで低分子量に切られてしまうため、精製度の低い抗血清からF(ab')2だけを、ゲルろ過カラムだけで効率よく精製できたのです。
モノクローナル抗体技術が一般的になるだいぶ前。(参考文献)
ペプシン消化が上手くいかないのですが…
こういう問い合わせを最近良く受けるようになりました。
抗体をペプシンで消化する、という実験でつまづいている人も多いはず。
そもそもなぜペプシンで消化するの?
診断薬では多くの場合、Fc部位は邪魔だからです。補体活性も使いません。
- 血清中にリウマチ因子を含む患者さんは沢山います。リウマチ因子の多くは抗体のFc部位に対する抗体です。
この部位を除く事で、特異性の高い(リウマチ因子の影響を受けない)試薬ができます。 - Fc部位は疎水性が強く、凝集の原因になります。Fcを除去したF(ab')2は安定である事が多く、安定的に利用できます。
- パパインで消化する事もできますが、フラグメントはFabになります。S-S結合を還元してSH基を利用する加工方法に持って行けなくなります。
ペプシン消化は、元々は抗血清からポリクローナル抗体を高純度に精製する技術なのです。
そもそもの目的が違うのです。(参考文献)
抗体がF(ab')2より小さな断片にならないのに対し、コンタミはペプシンで低分子量に切られてしまうため、精製度の低い抗血清からF(ab')2だけを、ゲルろ過カラムだけで効率よく精製できたのです。
- 消化条件を事前に検討する必要があります。できないクローンもあります。電気泳動などで小スケールで検討できますよ。
- 一般的にIgG1は過消化がおきにくい、IgG2aは切れすぎないように時間を至適化がある、IgG2bは過消化しすぎてF(ab')2は得られないと言われています。
これらは大体が合っていますが、例外も経験しています。
だから事前に小スケールで条件検討しておくのが大事です。
モノクローナル抗体技術が一般的になるだいぶ前。(参考文献)
ペプシン消化が上手くいかないのですが…
こういう問い合わせを最近良く受けるようになりました。
- 大体が切れすぎを恐れ、高めのpHで消化してみて、上手く切れないからと消化時間をだらだら伸ばしている事が多いです。
至適pHを外せば、どんなクローンも切れません。
- ちなみに「どういう条件で消化したの?」と聞くと、「某社のキットを使いました」という返答が多いです。
あれダメなやつ。手抜きは禁物です。