これまで一般的な実験室で行うELISAの話をしてきました。
今回は業務用のELISA、つまり臨床検査室用のイムノアッセイ専用装置はどう違うのか、を書いておきたいと思います。

とにかく速く正確に測る、というのが大事なんです。
色々な体の不調を抱えた患者さんが治療を求めて病院に押し寄せる、それをいかに速く捌けるか、という現代医療の課題に対しての一つの答えです。

昔は、96穴マイクロプレート用のELISA操作を自動化しただけの装置もありましたけど、今はほとんどチューブをターンテーブルで運んで、固相には磁性粒子を使う方式です。
その方が効率が良いんですよ。マイクロプレートみたいに1枚96テスト分同じ測定項目しか測れないより、色んな項目を並列で測れた方が個人個人の患者さんの検査結果を速く出せます。


反応効率


それにマイクロプレートに抗体を物理吸着する方式だと、液面付近の抗原とウェルの底にある抗体が離れているから、接触する確率(つまり結合速度)が小さい。
それより抗体を粒子に結合させて検体と混ぜてしまった方が接触する確率が高い。磁石を使えばB/F分離も素早くできる。
技術的に効率を追究した結果の選択なんですよ。

他にも、抗原抗体反応や酵素反応を平衡に達する前に切ってしまう。そうすると再現性が悪くなるはずだけど、全自動の専用機による分注精度向上と反応時間精度向上で何とかする。
そんな研究開発の上に成り立っているものなのです。
Confidentialなので詳しくは書けないけど。

この記事を書いている時点では、頑張れば1テスト10分は切れるかな、ぐらいのレベルです。
それ以上は原理から見直さないといけない。
まだまだ研究開発の余地はあります。