さて、まずは普通のELISA系を作ることを考えましょう。
酵素標識抗体を作った、固相抗体を作った、となればあとは酵素を検出する基質ですね。
比色法、蛍光法、化学発光法など色々ありますが、どう選んだらいいの?という悩み所もあるでしょう。

「もちろん化学発光法で超高感度測定系を開発して、企業からオファー殺到でノーベル賞を狙うんだ」と息巻いている人もいるでしょう。
でもね、そんな美味しい話は転がっていないんですよ。
普通の車にハイオクガソリンを入れても、レーシングマシンにはならないでしょう?

最初に選ぶとすれば、僕らのお勧めは「キットになってる安い基質」。
PODならTMBキット、ALPならBluePhosとかAttoPhosみたいな。

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別に化学発光基質にアンチなわけじゃないですよ。僕らもよく使っています。
でも診断薬メーカーさんが言うほど何倍も感度が出ないことが多いです。化学発光法を使った試薬っていうのは高感度測定用にファインチューニングされているものなのです。そうでもない試薬に化学発光法はオーバースペックで、検体中の夾雑物なんかも超高感度で検出してしまうのでS/Nが稼げないのです。

どうしてもSignalを稼ぎたいのなら、比色法や蛍光法で酵素反応時間を長く取ればいいのです。30分、1時間、オーバーナイトとか。
イムノアッセイ法というのは、コストと手間と時間を掛ければいくらでも高感度にできるんですよ。かの有名な石川榮治先生の「超高感度免疫測定法」で使っていたのも蛍光法で、時間を掛けることも必要だって仰ってましたよね。

我々技術者は、いかにコストを抑えつつ、臨床検査として有用なスピードで正確な検査結果を返すかを考える訳です。
短時間で手間を掛けずに高いシグナルを出すためには、化学発光法は実に有用です。高価だけどそれなりの価値はあります。
だからこそ普通のELISAには手軽な基質をお勧めするし、実際使ってもいるのです。