凝集法の試薬(抗体感作ラテックス)を作ったことがある方なら、こんな経験があるかと思います。今まで物理吸着法で作っていた試薬の調製再現性がよくないので、化学結合法に代えてみたら全然反応しなくなった、とか。
普通はそこで検討をやめてしまいます。

さて、なぜ化学結合法で抗体を結合させる方法は、実験的に上手くいかないのでしょうか?

①物理吸着しない訳じゃない
化学結合法で抗体を着けたはずが、実はほとんど物理吸着で着いていた、という事はよくあります。
タンパク質の吸着現象なめんなよ。あれ物凄く強いんだ。
結局架橋剤で修飾した分だけ活性が低下したとかいうオチになります。
あと、長期保存すると剥がれたり。化学結合なのに何で剥がれるんだよ、って頭を抱える訳です。

②抗体が「死ぬ」問題
物理吸着法の所で考察していた、抗体が倒れたりして活性を失う問題。これは化学結合法だと解決できる訳じゃないです。抗体にアミノ基がたくさんあるので、倒れて着く確率も高いってこと。

③架橋剤を工夫しても失敗する
もうラテックスと抗体の距離を離すように、長いスペーサーを持った架橋剤を使ってやればいいんじゃないかと考える訳です。
でも実際やってみると、都合よく物理吸着せずにスペーサーの先だけに抗体が着いてくれる筈もなく…

というような苦労があって、診断薬メーカーさんは独自の技術(もちろんConfidential)で抗体感作粒子を作っているのです。
こういうことを経験して、何とか試薬が作れて50点。
今市場で流通している試薬は75点ぐらいでしょうか。
なかなか100点満点をつけられる感作方法って言うのはないんですよ。

そこまで究めてもお客様に提供できる利益は僅かなので、我々は75点の技術で何とか試薬を作っています。
究めるのは生物工学の学者さんに期待しましょう。