固相に対して物理吸着法ではなく、化学結合で抗体を結合することもできます。
この方法は、主に表面にカルボキシル基が付いた
診断薬用ラテックスに、タンパク質のアミノ基を使って結合させるときによく使います。

まずはカルボキシル基にNHSを付けます。
「官能基の活性化」と言っています。

EDC-NHS
EDCはEDACとかWSCと呼ばれることもあります。
カルボキシル基とアミノ基を架橋する作用を持ちますので、これを使えばラテックスと抗体のアミノ基をくっつけられます。
でも抗体にもカルボキシル基がありますので、そのまま使うと抗体同士が架橋されて高分子量の重合体を作ってしまうのです。

そこでまずカルボキシル基に、一旦NHSを結合しておき、EDCを除いた後で抗体を結合するのです。
NHSは以前も出てきましたね。抗体の低分子標識 1.アミノ基を使う方法

①カルボキシル基の活性化

EDCが100mM、NHSが50mMぐらいになるように中性のリン酸緩衝液に溶解します。用時調製です。
診断薬用ラテックスは遠心して上清を除去しておきます。
これにEDC,NHS溶液を入れ、よく撹拌します。超音波とか掛けると簡単です。

EDC_step1

EDCはNHSをくっつけると外れてしまいますので、カルボキシル基にNHSが結合したものだけが残る事になります。

②タンパク質(抗体)の結合
また遠心して、上清を捨て、リン酸緩衝液で洗います。
そこに抗体を添加します。

EDC_step2

こうすると今度はNHSが外れて、ラテックスのカルボキシル基と抗体のアミノ基が共有結合でくっつきます。
あとは余分な抗体を洗い流して、BSAとかでブロッキングすれば完成です。

と、教科書的な説明ではこのように結合できるのですが、いざ実験してみるとなかなか上手くいかないんですよ。抗体がうまく反応しなかったり。
ここまでで採点すると30点、って所でしょうか。

長くなるので続きます。